研究内容
私たちの研究室では,様々な遷移金属-典型元素結合を持つ錯体の合成,構造および反応性の研究を行っています。 数十種ずつ存在する遷移金属と典型元素との結合の組み合わせは極めて多様です。それらを含む新しい錯体の合成研究の中で,私たちが目指しているのは,「これまでに無い結合様式・反応性の発見」です。 以下に主な研究内容について紹介します。 |
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私たちはケイ素上に大きな置換基を導入することで,鉄のシリル(シリレン)錯体を安定化し,その合成および構造解析に成功しました。この錯体は,鉄-ケイ素二重結合を持つ世界で初めての化合物です。
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電気陽性なケイ素が結合した金属中心は電子豊富になり,高い反応性を有します。私たちは,2つのケイ素を有するキレート型支持配位子(キサントシル配位子)を開発し,その配位子を持つ遷移金属(鉄,ルテニウム,タングステンなど)錯体を合成しました。現在,得られた錯体を用いた新しい物質変換反応の開発を目指しています。 |
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遷移金属と結合しているケイ素に,もう1つ金属と相互作用できる典型元素(リン,硫黄など)を導入することで,遷移金属(M)・ケイ素(Si)・典型元素(E)からなる三員環構造を持つ錯体(下図)を得ることができます。このような錯体は結合に大きな歪みがかかっているので高い反応性が期待できます。 |
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私たちは,鉄-ケイ素-リンからなる三員環錯体を合成し,その錯体がケトンと反応しケイ素-リン結合にC=O二重結合が挿入した五員環錯体を与えることを見出しました。
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